撮影:新建築社
●掲載誌:『新建築住宅特集』2002年1月号/新建築社
二手橋という旧軽井沢の中心的な位置を占める敷地であり、恵まれた周辺環境や既存植生などの物理的条件をもち、「旧軽井沢の別荘」というまたとない命題である。A.レーモンドや吉村順三をはじめ、多くの建築家の名作別荘の地である。そこはそれらが形成してきた格式の高い建築世界としての、旧軽井沢という“ゲニウス・ロキ”の存在する場所といってもよいだろう。その敷地は、鬱蒼とカラマツやモミの古木が繁り、建主が子供のころ水浴びをしたという冷たいせせらぎが流れる、軽井沢特有の厚いスコリアに覆われた緩やかな斜面であった。結局私たちがそこから抽出したものは、「高い床と緩い勾配屋根」、「羽目板の外壁、丸太材」、「暖炉や明り障子」などである。今では別荘建築の古典ですらあるヴォキャブラリーをもって自分たちの建築を語ることで、むしろ私たちの自由な建築的構築が、別荘古典の仲間入りを可能にしたように思える。
   
所在地 長野県北佐久郡軽井沢町
敷地面積 1,678.64m2
延床面積 194.68m2
構造規模 木造 地上2階階
施工 白石ホームズ/井出建設
竣工 2001年5月