撮影:北田英治
   
所在地 横浜市青葉区もみの木台
敷地面積 209.83m2
延床面積 158.22m2
構造規模 木造 地上2階
施工 岩井建設
竣工 2004年7月
 
東急電鉄沿線の田園都市開発でつくられた「東急型田園住宅」の全面的な内外装改修である。改修前のそれは、優れたハウスキーパーである夫人が、自ら内外をすべて白い塗料で塗りつくし、美しく設えられた、見事な住まい振りの家であった。それは、建築家が軽々に手を加えることが躊躇われるほどであったが、キッチンや水回りの機能の現代的更新が必要であった。
私たちはその家の味わいを損なわずに最小限のリフォームを行うこと、いわば「臆病なビフォーアフター」に徹する方針で事に当たった。つまり、空間構成を大まかに整理し、住宅機能や造作を家主の趣味、テースト(白く、開放的で明るい)を極力生かした設計を心掛けたのである。
つまり良質の広葉樹フローリングと漆喰の家であり、白い壁や天井に映る明るい光が家中に充満する空間を提案した。唯一付け加えた要素と言えば、寄り付きのカーポートから上の段にある住宅玄関までのアプローチに、コンクリート打ち放しの細高い門型と、白色塗装のスレンダーな鋼板製の庇を築造したことである。
リフォームまでの30年余の歴史をもつこの住宅が、新たな30年の「時間の中の建築」 を無事に生きて住まわれてくれることを願うものである。