[DW]住宅 > 2012.08 |
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古き良き成城の面影を残す住宅地/建築環境も大きく変貌し、新しい現代住宅やマンションが大半を占める中、昭和の有形文化財級の家屋敷が世代交代に伴い7区画の分割所有となり、北西の角地1区画に旧家を残して更地となった敷地の最初の建て替えが当該『M邸』である。 それは、ガレージ/蔵付き、2LDKという設計条件に対し、基準法の面積・形体制限の中でごく素直に組み立てた結果である。つまり、敷地と道路のわずかなレベル差を活かし、いきおい立体的に積み上げる方法に依っている。3階建、4層のレベルを持っているため、下部2層をRC壁構造(打放し)、上部2層を在来軸組み工法の木造(ガルバリウム鋼板勾配屋根)というソリューションである。内外装と各設備も現代都市住宅の一般的なものであり、私たち事務所の標準仕様と言ってよい。 新しく殊更な作為、いわゆる“デザイン”を必ずしも求めず、自然でシンプルな生活の場を作り出そうとされる人生経験豊かな施主夫妻の「家のイメージ」に忠実なフォーム・ギヴァーとしての職能が全うできていれば幸いである。 (藤木隆男) |