撮影:北田英治
 
児童養護施設東京サレジオ学園(1991改築/坂倉建築研究所)敷地内いちばん西奥につくられた小規模グループホームである。木造2階建/交差切妻の集中形式のこの家は、既存の黄色い瓦屋根の園舎集落、鉛の屋根と打ち放しの学校校舎群に対する「第3の建築」のあり方であるが、「異化」を目指したというより、「多様化」による今そこにある豊かな建築環境の少しだけの増幅であると考えている。これまで長きにわたり作り上げられたものへの敬意である。
子どもの部屋は、2階に6室。各室はそれぞれ「家の中心の漆喰塗りの吹き抜けと欧州赤松集成材の合わせ梁+6本のろくろ丸太による回廊」に大きく開放可能なスライディングドアとし、外側は周りの美しい緑を映す「木製フレーム付きピクチャーウィンドウ」をもっている。交差切妻で作られる内部空間を正確に6つに切り分けられた個室は、全面シナベニヤの内装、ベッドや机などの家具類もシナ積層合板製である。また、冷暖房には「パネル輻射式」が採用され、採光や通風などの十分な自然エネルギーによる室内環境を緩やかに支えている。
   
所在地 東京都小平市
敷地面積 60580.64m2
延床面積 232.01m2
構造規模 木造 地上2階建
施工 深野工務店
竣工 2009年5月