撮影:藤木隆男建築研究所
●掲載誌:『新建築』2002年5月号/新建築社、『病院建築』No.138/日本医療福祉建築協会、『INAX Tile & Architecture23』
●受賞:第25回 東北建築作品賞、医療福祉建築賞2005
私たちの提案は「平屋・片廊下/中庭型」である。プロポーザルコンペでは中庭型病棟の看護動線の長さの解決策として、1つのナースステーションと2つのナースコーナーを配置したが、実施案では各1つが中庭の対角の位置に置かれた。私たちは車椅子やベッドで中庭に出て安心して風や陽にあたり、池の生物や草花を愛で、軒先に洗濯物をはためかせる、患者と家族の最後の日々の生活全体を受け止めることができる建築のあり方として、困難な中庭式プランが相応しいと考えたのである。
一方大半を個室で構成するこの病棟は、個室の充実(患者のリビングであり介護者の拠点としての畳スペースなど)こそが最優先されるべきであるという医師の考え方に基づいている。私たちはそれに、複雑な勾配天井、木製のサッシや造作のしっかりとしたディテール、珪藻土などの自然素材の多用、化粧室の充実や調光照明などの住宅的な室内環境と設備で応答している。
   
所在地 宮城県名取市
敷地面積 6,124.62m2
延床面積 1,930.58m2
構造規模 鉄筋コンクリート造+鉄骨造 地上2階
施工 佐藤・相澤特定建設共同企業体
竣工 2002年3月