撮影:アイガー産業
   
所在地 世田谷区北沢
敷地面積 162.64m2
延床面積 165.98m2
構造規模 鉄筋コンクリート造 地上3階
施工 アイガー産業
竣工

2010年6月

 

下北沢のいわゆる「旗竿状敷地」が与えられた。建て替え前の住宅がそうであったように 旗竿のとりわけ長い「竿」の部分(およそ車3台分)を住宅のアプローチ兼カーポートに充て、「旗」の部分を住宅本体の計画対象エリアにするのが、素直な構想である。ただ新住宅は、2世帯居住なども視野に入れ、延べ約166u、3階建てで計 画された。それに伴い構造も、木造から鉄筋コンクリート造へと転換された。
いきおい旗部分の建蔽率が高くなり、一皮の余地は設備スペースとメンテナンス通路、わずかな緑化スペースとして計画するのがやっとである。その代り、各階に大小のルーフテラスを組み込み、室内につながるオープンスペースを確保し、同時に建築ボリュームを分節させ、外観に変化を与えている。つまり、カーポートを兼ねたアプローチとルーフテラスがこの都市住宅の「庭」である。
2階をグランドフロア(LDK)とし、陽当りや眺望のよいフリースペースとして獲得すること、玄関ホール/階段室を抑制のきいたデザインのステンドグラスと3層にわたる木製の格子スクリーンを住宅の個性的な空間表現としていることをおもな提案とした。そのほかは、各部の仕上げ素材・色や造作ディテールの吟味、キッチン/洗面/浴室などの水回りの追求など、隅々までクライアントとの2人3脚でひたすら丁寧に作り上げた感がある。おかげで、地域/敷地にふさわしい「大人の住宅」を収めることができたと安堵している。