[DW]住宅 > 2010.10 |
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敷地は南北2面の道路にまたがる細長くゆるやかな南下がりの約150u。カーポートと宅地に2段に造成され、分譲住宅地としてはごく典型的な光景を呈していた。しかし幸い東側の隣は十分な広さの庭と植生をもつ古民家で、しかもそこはすぐ近くの交差点の名前「羽毛下橋(はけしたばし)」が示す通り、府中/国分寺から等々力に至る国分寺崖線(はけ)の一角を占めていたのである。 私たちの応答は、「建築ボリュームと余白の空間が敷地いっぱいにうねって展開する、『森を見る家』」である。主空間であるリビングは、平面断面とも十分なスケールと変化のある不整形なスペースで、東側全面を木製フレームの高いガラススクリーンとした。朝日と緑と風をいっぱいに受け止める家族の拠り所と考えたのである。そのほか木製素地仕上げで控えめなオープンキッチンと小振りな薪ストーブ、ガラスのブリッジ上のかわいい洗面台、和テーストでモダンな「離れ」板の間寝室など家中がそれぞれに『森』に対峙している。それらは施主家族、工務店と私たちの共同作業/悪戦 苦闘の戦果である。 |