[ED]教育・医療・福祉施設 > 2018.1 |
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建築は、基本的に賃貸住宅である。
いわゆる「サ高住」だが、見晴らしのよい最上階には、「メインダイニング」(生食材・全調理可能なオープンキッチン付き)、浅草のスカイラインを借景にした庭付き「展望浴室」と、入居者や家族の祈りや思索/観想のための「Quiet Room」が設けられ、ここでの生活に彩りを与えている。さらに1階グランドフロアは、要所に小規模なCAFEとSHOPを構え、街に開かれたガラス張りの「エントランスホール」となっており、入居者―地域住民の交歓、くつろぎの場となっている。2階の十分な介護浴槽設備を持つ「デイサービス施設」や多目的な「研修室」も館内外の高齢者や地域住民のための介護サービスや生涯学習の場である。つまりこの「サ高住」は、土地有効活用や福祉活動を営利目的で行う単なる新規事業ではなく、「自助・互助・共助する」地域の新世代高齢者が、地元で安心して住み続けられる、新しい共働・共住モデルづくり;事業主の目指す「地域/社会貢献、理想の家づくり・街づくり」の志の高水準な具現化である。 ところでこの建築は、優れてクールで抑制のきいたグレイッシュな内外観イメージを持っている。壁紙の色柄から照明器具やパネル式輻射冷暖房設備、最新のスマホ型ナースコール・ITV監視・電気錠管理システムに至るまで、独自な世界観とデザインマインドを手掛かりに事業主が模索した手作りの徹底して元気のよい主張と愛で貫かれている。 この熱く大胆な試みが、利用者や地域に受け入れられ支持され、花開くのを祈ってやまない。 |
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