撮影:藤木隆男建築研究所
●JR東日本建築設計事務所と協同

山形から新庄へ延伸する山形新幹線4駅のひとつである。背景に観光地銀山温泉や米/フルーツなどの豊かな産物、最上川/北村山の美しい自然景観をもつ。しかし私たちは、殊更な歴史・地域的和風レプリカ造形や、極端に透けたガラス張りの大空間のような昨今ありがちな駅デザインを避け、駅を中心とした新しい町づくり、地域づくりの拠り所になる駅舎建築デザインを目指した。
町の“あんどん”のような小さなガラスキューブを戴き、多くの寄進者による赤い敷瓦で葺かれた“階段状の大屋根”をもつ新駅舎デザインは、「蔵の町大石田」の風土性をモダン体現している。またそれは春秋の最上川/北村山の自然景観を展望し、夏の花火を楽しむ観覧席でもある。豪雪の冬はすっぽりと白い綿帽子をかぶり、室内の温かい小上がり待合スペースを包み込む。
この駅は、地域の気候や実生活を体現し、内包する「展望公園」であり、「町の座敷」である。ちなみに駅内の都市施設は、「床の間付小上がりギャラリー」と「名物の日本そば/地酒レストラン」である。
   
所在地 山形県北村山郡大石田町
敷地面積 2652.13m2
延床面積 532.67m2
構造規模 RC造 地上2階
施工 第一建設工業
竣工 1999年12月