[DW]住宅 > 2016.3 |
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「nLDK」―。通常住宅の規模や形式を表すこの表記方法によれば、当該の住宅はひとまず『8LDK』ということになる。つまり、主寝室と4つの子ども室のほかに、広間の茶室(水屋付)、トレーニングルーム、書斎をもつ大型の住宅である。 設計スタートの時点で施主から示された土地の重要事項説明書の中の地盤性状のデータによれば、当該敷地は鬼怒川河岸段丘上の礫混り砂質の地盤であった。実際に現地に立ってみると静かな小集落にしか見えない敷地周辺は、大きな地形的には宇都宮市東部郊外の一級河川西岸の河岸段丘の縁にあることが読み取れた。そこはおそらく太古より人が住むに安心な場所であった。 一方内部空間は、『十字形の平面』を3層重ねた構造で、タテ軸を、1階ホール/2階トレーニングルーム・洗面浴室/3階書斎とし、それぞれ東西のヨコ軸上に、ガレージとLDK・和室/主寝室と子ども室を配置している。それは、大きな塊になりがちな平面を出来るだけ分節し、陽当りや風通し、眺望とプライバシーを制御しようとするものであり、建築の外形に従った各部内部天井懐は浅く暗すぎない陰翳を内包している。 |