[RE]宗教施設 > 1994.07 | ||
撮影:新建築社 | |||||||||||||||
●掲載誌:『新建築』1994年12月号、『日経アーキテクチュア』1994年11月21日号 ●受賞:JCDデザイン賞奨励賞 |
|||||||||||||||
|
|||||||||||||||
松本から長野に抜ける高速長野自動車道は、途中「麻績(おみ)」、「姥捨(うばすて)」などの懐かしい名をもつ山里/集落を通過しているが、そのあたりに「聖(ひじり)高原インター」がある。敷地はこのインターから更に上ること約1時間、海抜1000m余りの高原別荘地である。約600坪、高低差10mの東斜面、植林されたカラマツの足元一面は直径1mもあるオシダの群落である。 当初カトリック修道会の「黙想の家」(研修施設)として計画されたこの別荘集落構想の第一感は、林立する細い束柱で空中高くに持ち上げられた、木造建物群とそれを結ぶ架け橋であった。それは石垣や丸太の堅固な山小屋でなく、むしろ都会の日常生活を切り取り、カラマツ林に投げ入れたような、外観、内部設備とも、軽快で洗練された森の生活空間としてである。その後、この建物はそのまま子どもたちの「山の家」として引き継がれ、大いに活用されている。 不整形なプランと、ギザギザの屋根のスカイラインを持ち、竪羽目板張り/黒く塗装されたこの構築物は、深い針葉樹林にモノリシックに漂っている。一方内装はすべてカラマツ合板で覆われ、これもうねりながら連続、上昇するチューブ状の明るい空間で、中心に薪ストーブをもつシンプルな構成である。離れの個室群と小チャペルも、カラマツ林に散りばめられた小さなかけらで、細いブリッジで繋ぎ止められている。 |