所在地 神戸市垂水区
計画床面積 1338.23m2
構造規模 木造 2階 鉄筋コンクリート造 1階
施工 (株)山田工務店/藍和
竣工 2020年5月
 

「学びと思索、祈りの生活の場」

 建築は、2014.9に行われた設計者選定プロポーザルコンペ以降、基本設計及び計画見直し・実現化計画、実施設計、2019.6〜2020.5の工事を経て完成したものである。ただしその新校舎は、校務棟会議室や祈祷室ほか構内各室を教室として兼用し、講堂を第U期工事に回すという、いわば過渡的/「仮の」状態での出発となっている。したがって、早期に(教室を含む)講堂を増築し、十全の形での新校舎全体を実現させ、300人規模の『塩屋聖会』(;神学校及び教団全体の年次総会であり、諸活動の原点)が開催できる本来の姿としての『関西聖書神学校』の完成が待たれる。
 ところで、完成した新校舎の建築デザインはジェームズ山を核とする塩屋町の住宅地
域の景観特性と調和する、「オレンジ色の瓦葺勾配屋根/アースカラーの2層構成の外壁」をもつ穏やかな印象の「居住系建築」として作られた。それは、講堂が奥の礼拝堂とともに、幾何学形態/無機的表装をもつ「学びと思索/祈りの建築」として、街や海・空に対峙し、開かれた構造をもつ建築と想定されていることと一対である。
今後、神学校を取り巻く時代や社会の変化を受けて、2024年に迎える「神戸市御影『聖書学舎』設立100年」に、講堂を加えてGRAND OPENするであろう新校舎が、「地の塩、世の光」を体現する神学校の存在をより相応しく顕わすことを願っている。 

              (藤木隆男)