[RE]宗教施設 > 2010.07 | ||
撮影:大協建設 *は藤木隆男建築研究所 | |||||||||||||||
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カトリック小教区教会の老朽化に伴う36年ぶり3回目の改築である。建替えにあたっての教会(主任司祭と信徒の方々)からの要望に対する私たちの応答は、適切な規模設定や各室の配置などの計画、教会らしい内外部の空間デザインの鮮明化、バリアフリー(下足/車椅子利用)、夏暑く冬寒い名古屋地方の気候の克服、ローコストなどの諸課題への確かな対応でなければならなかった。安定し、オーソドクスな小教区教会の建築として、私たちの建築的提案は要約すると以下の点である。 1.木造の小屋をかけ「光と形」をつくる 高く広い無柱の主聖堂に大断面木造合 掌トラスを架け、新しい光を取り入れ、力 強く温かい、大きな「家」のような形姿と空間性をもった聖堂をつくる。 2.住宅的居住性と霊性を重ねる 主聖堂(聖アントニオ聖堂)はフローリング張りの床/漆喰仕上げの壁/木製素 地仕上げの建具/杉板張りの天井という住宅的内装を、12対のコンクリート打放しの柱・梁(12使徒)が支える簡素な空間とする。その中に、十字架や祭壇まわり、ステンドグラスなど教会活動のための設えを、現代的解釈と表現で設える。 2.実用的でハウスキープし易くつくる 主聖堂、小聖堂、和室からエントランス・ホール、会議室群(日曜学校・集会) を、開放的にワンフロアに連続させ、教会をめぐる明るく親しみ易い活動の場とする。ローテクニックな建築構造や設備、ランニングコストの抑制、清掃・維持管理など信徒のハウスキープがしやすい建築のあり方を追求する。 結果、この教会建築は信徒の厚い信仰とエネルギーによる、広大なカトリックの神の国に生まれた「小さな家」となった。 |